先輩はどうしてる?

境町立境小学校野口 奈々美 先生

Question 1教員という職業のどこに「魅力」を感じましたか?

子どもが何かできるようになったとか、成長したなって感じるときにやっぱり喜びを感じているので、この仕事を選びました。最初は小中高の校種でいろいろ悩んでたんです。結局、免許も小中高全部取りました。でもやっぱり、小学校の方が自分のクラスの子どもたちと一緒に過ごす時間が長い分、密な関係を築けるかなと思って小学校にしました。私は幼稚園の頃から、気付いたら先生になりたいって思っていて、お花屋さんとかケーキ屋さんとか、そういう夢を通らなかったんです。なので具体的なきっかけはないんですけれど、気付いたら憧れているっていうくらい、私にとって身近な職業だったのかなと思います。

Question 2教員を目指すにあたり、茨城県を選んだ理由を教えてください

やっぱり自分がお世話になった地元に恩返しがしたいなっていうことですね。私は本当に一人暮らしとかもしたことがなくて、ずっとここに住んでいるんですが、郷土愛というか地元愛が割と強めだと思うので、やっぱり茨城県がいいなって思いました。もう一つは、自分がお世話になった先生方と一緒にお仕事をしたいっていう気持ちが強くて、その先生が多くいらっしゃる茨城県にしました。大学4年のときに教育実習で母校の中学校へ行ったんですけど、その時ちょうど私がお世話になった社会の先生がまだ学校にいらっしゃり、授業を見に来てくださったときに「この職業に就いてくれて嬉しいよ」って言ってくださったので、それがすごく良かったですね。

Question 3実際に教員という職業に就いてみて「やりがいを感じること」と「大変だと思うこと」は何ですか?

1番はやっぱり子どもの成長の場に立ち会えるっていうことです。物理的にも子どもはすごく成長しています。4月の頃の身長と今の身長で1番伸びた子は7センチぐらい伸びていて、もうそれだけで子どもが持つパワーってすごいなって思います。もちろん精神的に成長している部分もあります。最近でいうと掛け算なんかも、最初二の段が言えなかった子が言えるようになったとか、あとは逆上がりができなかった子ができたとか、やっぱりそういうことがあると、子どもももちろん喜んでいるんですけど、私も同じくらい喜ぶというか嬉しい気持ちになりますね。

大変なところは、やっぱり子ども1人1人が全然違うっていうことですね。学習指導でも、例えば同じつまずきがあったとしても、子どもによって掛ける言葉が違うといいますか、同じことを言っても伝わる子と伝わらない子がいるので、この子にはこう言うけど別の子には何か違うアプローチを考えなきゃいけないっていうのが、やっぱり大変ですね。去年担任した2年生と今年担任している2年生も全く違っていて、去年の方が上手くいったこともあれば、今年の方が上手くいくこともあります。でもそれは大変さでもあるんですけど、それぞれの個性を楽しめているというか、楽しいところでもあります。でも大変です。学習への欲求とか、吸収力の高さに私も何か答えていかなきゃなって思います。はい、頑張ろうと思います。

私が子どもの頃に見てきた先生って、担任の先生がほとんど全てだったんですね。特に小学校は担任の先生が全ての教科を教えるじゃないですか。なので、クラスのことは何でも担任の先生がやっているんだろうなって子どもながらに思ってたんです。ですが、実際になってみたら全くそうではありませんでした。むしろ一人じゃほとんど何もできないぐらい、やっぱり人の力を借りなきゃできないところが多くて、もちろん授業は全教科を教えているんですけど、いろんな先生が本当に教室に来て手伝ってくれたりとか、助けてくださったりとか、あとは相談にのってくださったりとかしているので、思ったよりも1人じゃないなと感じています。

Question 4現在の勤務校である「境小学校」について、どのような特色の学校か、教えてください

境小学校は今年で創立150周年を迎えまして、その記念の式典などもあったんですけれど、古くからある歴史のある学校ですね。周りに商店街があるんですれけど、そこの方々との結びつきがとても強くて、社会科見学とか「街探検」とかで、すごく地域の方に助けていただいて交流が続いています。やっぱり150年の歴史があるからかなと思います。あと本校は英語教育にすごく力を入れています。それは境町全体もそうなんですけれど、ハワイのノエラニという小学校と姉妹校のような取り決めをしています。昨年9月にノエラニ小の校長先生がこちらにお見えになって、それをおもてなしする会をやったりしました。これからは子ども同士の交流なんかも視野に入れているそうで、それが実現したら今度6年生がハワイへ行ったりとか、向こうから来たりとか、そういう交流も目指しているそうなので、今からすごく楽しみです。

Question 5職員室の雰囲気や同僚の教職員との関わりについて教えてください

私の周りは、ベテランの経験豊かな先生がすごくたくさんいらっしゃるので、例えば職員室で作業をしているときに、何か分からないことがあったりすると、別に何とは言わなくても声を掛けてくださるんですよね。私が何か分からなそうな風をしているのか、それを感じ取って「どうしたの?」とか、声を掛けてくださることがすごく多いので、とても助かっています。あと、やっぱりベテランの先生方は本当にいい意味で世話焼きというかお節介というか、すごく人の面倒を見るのが上手というか、多分得意なんですね。なので、私のことも子どものように面倒を見てくださっていて、そういうベテランの先生の前では、私も一人の先生というか、もう子どもになったような気分でいろいろ助けてもらっています。すごく信頼もしています。歳が近い先生とは、学年がばらけることもあって、あんまり交流は多くないんですけど、でも会えば同じ苦労を共有したりとかして励みになっています。

Question 6典型的な1日の勤務スケジュールを教えてください

朝は子どもたちが来るちょっと前に出勤して、それから1・2時間目の授業。そのあとに業間休みが入って、宿題の採点をしたり、子どもと一緒にお絵描きをやったり、あとは終わらなかった問題やプリントがある子に教えたりとか、そういうことをして過ごしています。その後3・4時間目の授業をやって、お昼、給食を食べて昼休みも同じような過ごし方をして、掃除の後5時間目をやって下校になります。子どもたちは2時とか2時半に帰るんですけど、そのあとはその日やったテストの採点とか、宿題の丸付け・ノートのチェック、校務分掌で私は図工の担当なんですけれど、その図工の仕事をやったりして、夕方に帰ります。

Question 7各学校で働き方改革が進んでいると思いますが、どういうところで実感していますか?

学年ごとに定時退勤日っていうのを決めていて、その日はそれに向かって頑張って仕事を終わりにして、早く帰ろうっていうふうにやっています。それは職員室のみんなが見えるところに掲示してあって、月曜日は何年生とか書いてあって、みんなが分かるようになっています。通知表の時期が近づくとどうしても仕事が増えて帰りが遅くなりがちなので、学期末にはなるべく特別日課を増やしていただいたりして、子どもを早く帰したあと、すぐに仕事に取り組めるようにという配慮もあります。今月も何回か早帰りの日があり、なるべく早く業務を終わらせるようになっています。あとは時間外勤務が45時間を超えないようにと最近言われています。お互いに声を掛けられるようにすることが最近はわりと習慣になってきていて、勤務時間が減っているように感じています。

Question 8生徒たちに対する思い・心構えを教えてください

例えば、嘘はつかないとか、忘れ物をしないとか、忘れ物をしたらすぐに言うとか、どうしてもいろいろ子どもに言うことがあるので、それをなるべく私も心掛けるようにしています。私もすごく忘れ物が多くて、しょっちゅう箸とか家に忘れちゃうんですよ。子どもにはいつも、忘れ物をしたらすぐに私に言いに来るように、例えば鉛筆を忘れたら「鉛筆を忘れた」って言いにきて「貸してください」って言うように、じゃないと授業が進まないじゃないですか。なので、そういうふうにしましょうって言っています。子どもにそう言っている手前、何かコソコソするのは良くないなと思って、私も箸を忘れた時は自分で「今日、先生は箸を忘れたので割り箸を使います」って言うようにしているんです。なるべく子どもに言うことを自分もやるっていうように心掛けています。

あとは努力することの大切さというか、その姿勢を見せるようにしていますね。私はすごく体育が苦手で、逆上がりとか水泳とかも本当に出来ないんですよ。出来ないんですけど、でもやって見せるようにはしています。先生も出来ないから、別に出来なくてもそんな気にしなくていいよっていうか、出来ないから学校へ行きたくないとか、そこまで考える必要はないよって。私も出来ないから出来ない子の気持ちがよく分かるので、なるべく努力する姿勢を見せるようにしています。

Question 9授業や学級経営で工夫していることを教えてください

授業で工夫していることは、具体物を出したりとか、実物を出したりとか、そういうことを心掛けています。例えば、物差しって意外と長持ちするじゃないですか?私が1回、道徳の授業か何かで、このクラスは落し物が多いっていう話をしたんです。どうしてかっていうと物に名前を書いてないから、物を大切にしないから、落としても誰も拾ってくれなくて落し物になっちゃうんだよねって。その時に私は30センチ物差しを使っていたんですけど、それは私が小2の時から使っている物差しなんですよ。もう20年弱ぐらい使っているんですけど、それを子どもに見せたら凄く驚いてくれたんですよね。「そんな昔から使ってるの?」って言ってくれました。ちょっと汚れてる物差しを見せることで、少しでも大切に使うっていう気持ちが芽生えたらいいなって思っています。口で「大切にしてね」とか「名前を書いてね」とか言っても、やっぱり伝わらないところがあるので、実物を出して話に説得力を持たせるようにしています。

Question 10保護者や地域との関係づくりで気を付けていることは何ですか?

2年生の保護者の方って、まだ子どもが小さいので、学校でどんなことがあるんだろうとか、友達と仲良くしてるのかなとか、凄く心配されている方が多いんですね。なので小まめに連絡を取るようにしています。ケガをしたとか、こういうトラブルがあったとか、そういうちょっとマイナスなことはもちろん伝えるんですけど、それだけじゃなくて、掛け算が言えるようになったとか、縄跳びが飛べるようになったとか、今日日直を頑張っていたとか、そういうプラスのことも伝えるようにしています。保護者の方が、学校からの連絡がなんとなく嫌だなって身構えてしまうことがあるので、そうならないようにしています。

地域の方とのことでいうと、やっぱり授業とか校外学習ですごくお世話になることがあるので、そのあとに子どもたちからのお礼状を書くようにしています。やっぱり嬉しいって言ってくださるので、お礼状を書いて一緒に感謝の気持ちを伝えに行ったりしています。あとは下校の時間にパトロールで立っていてくださる方がいるんですけど、子どもたちの下校指導でお会いした時に、今日もよろしくお願いしますとか、そういう一言なんですけど伝えるようにしています。

Question 11「休暇制度」「給付事業」など、福利厚生の活用状況について教えてください

私は旅行が好きなので、休暇は夏休みとか冬休みにまとめて連続で取って、どこか遠くに出かけてリフレッシュするようにしています。普段はなかなか忙しいので、休みはまとめて取って、それを励みに普段頑張っています。夏休みだったらお盆休みで何日間か学校閉庁日があるので、その休みと繋げて1週間とか10日とか連続で休んでいます。

Question 12初任者には3年間の研修制度がありますが、どのような研修が役に立ちましたか?

教科の指導、例えば国語とか算数とか、そういう指導があったんです。私は本当に体育が苦手で、自分が出来ないから、どうやって教えたらいいのかってことをすごく困っていて、選択授業で体育を選んだんです。その時に、確かマット運動だったと思うんですけれど、運動の進め方とか、なるべくケガをさせないようにする工夫だとかそういうことを学べて、すごく為になりました。出来る人のやり方を聞くのが一番近道で、それはすごく勉強になりました。

あとは研修センターというところに1年目の先生がみんな集まるんですけど、知り合いが増えたっていうのと、大学の時の同級生が結構いたので、その人たちと会って日頃の悩みとか苦労とかをお互いに言ったりして、何かすごく同窓会みたいな気分で楽しかったです。

Question 13茨城県の教員志望者へメッセージをお願いします

今、先生になろうかどうかで悩んでいる方がすごく多いと思います。私も皆さんの歳の時は同じでした。でも大変さ以上にやりがいのある素晴らしい仕事ですので、ぜひ一緒に茨城県の先生として、茨城県の将来を担う子どもたちを育てていきましょう。